CRAFT

琉球ガラスについて

我謝良秀

沖縄県工芸士 / 平成23年 認定番号86

我謝良秀
  • 昭和41年12月5日沖縄県那覇市の大工の家に生まれる
  • 高校入試の際、両親と相談して提出した自動車科の願書を独断でデザイン科に変更
  • 那覇工業高校デザイン科で陶器専攻
  • 学校の先生より、壷屋の窯元を就職先に紹介されるが、出版社にデザイナーとして就職
  • 印刷会社の転職、ポスターやパンフレットのデザインをする
  • 24才の時に校正していた『現代の名工の大城孝栄』の記事を読んで感動(※故 大城孝栄は、琉球ガラスの分野で初めて現代の名工に選ばれたガラス職人。)
  • その中に「見習い不足」という内容を見つけ、速攻で印刷会社に辞表を提出
  • 職安に行くが、募集しているのは経験者のみと言われてしまう
  • でもとりあえず行ってみる?と勧められ面接を受け合格入社
  • ガラス職人になっていなかったら…『何かを作る仕事』をしていたでしょう。

陶芸

高校で陶器作りを専攻していた我謝さん。高校の先生から就職先に壷屋の窯元を紹介されるほど本気モード。今でもガラス工場の隣の陶芸工房の窯で家族と一緒に陶器を作ることもあるそうです。陶器は素手で作るもの、ガラス村に入った時はその感覚がまだあって、竿じゃなくて手でつかみたくてしかたがなかったとのこと(触らなくてよかったですね…)。 

作品を作るということでは一緒でも、手法的には全くの反対の陶器とガラス。大きなものを縮めていくことが容易で、逆に大きくするのが難しい陶器作り。そして小さくするのは難しくて、生地をつけたり、吹いたり遠心力で大きくしていくのがガラス作り。その違いによる途惑いがしばらく続いて困ったらしいです。

その途惑いを通りこして、いつの間にか我謝さんは作品に陶器作りを生かすようになりました。色の混ぜ方や使い方、形など陶器作りがヒントになったことが沢山あるそうです。一番わかりやすいのは、陶芸に使われる釉薬(ゆうやく)と言われる上薬(うわぐすり)をダラ~とかけた感じのガラス作品。もちろん素手で触っては作っていません。

缶ビール半分

我謝さんはかなりお酒が好きなようで、「ビールだとどれくらい飲むんですか?」と聞いたところ、「あるだけいくらでも!」という想定外の答えが返ってきました…。しかし琉球ガラス村に入った頃は350ミリの缶ビール半分くらいしか飲めなかったらしいです。仕事が終わった後に先輩たちに毎日飲みに連れて行ってもらって徐々に鍛えられたようです。

初めて連れて行ってもらった日は驚いたよ…って、どこで飲んだのかっていう話がまたすごいです! こんなところに居酒屋あったかなと思ってついていくと、そこは一見普通の家で、よく見ると80過ぎたおばあさんが、やってる小さな食品雑貨屋があったそうです。うちなー口で言うと”おばーたーのまちぐわー”という感じのそのお店でビールを買って、店の前の地べたに座ってみんなで飲むそうなんです。


雨の日以外は毎日のように、サキイカや缶詰の乾き物をつまみにビールばっかりよく飲んだとのこと。一本は安いけど、みんなで飲む量が半端じゃない。飲み代は先輩たちがもってくれていたのですが、タダ酒のありがたみより、普段は話さない先輩職人たちと交流することができることが、お酒がほとんど飲めなかった我謝さんをのんべぇにしていった理由。そこはガラス作りについて熱く語る場、我謝さんにとって貴重な学習の場だったようです。


先読みの楽しさ

我謝さんの趣味は盆栽。たまたま自宅が改装中で、家に置けなくなった20鉢を超える盆栽を工場で保管していたので、その中からいくつかを持ってきて楽しそうに話してくれました。「盆栽はガラス作りにどうつながりますか?」という無粋な質問に「つながらないからストレス解消になるんだよ。」と答えてくれた後に「器をガラスで作るとか、木をガラスでというのもありえるけどね。無理やりにならつなげられるけど、見ているだけで落ち着くところがいいんだよ。」とにこやかに説明してくれたのでした。

植木鉢の中の小世界、盆栽には色々なきまりがあるそうです。完成の形をイメージして少しずつ、この枝を右に、この枝を上になどと針金を右巻き左巻きと掛けていく。水のやり過ぎややりなさ過ぎも注意が必要だが、時には水をやらずにいじめる。危機を感じた盆栽が自ら生きようとして葉っぱを出して花を咲かせるそうです。その先読みの楽しさ、やっぱり作品の完成をイメージして作業を進めるガラス作りに十分似ているなと若造はこっそり思いました…。

植木鉢の中の小世界、盆栽には色々なきまりがあるそうです。完成の形をイメージして少しずつ、この枝を右に、この枝を上になどと針金を右巻き左巻きと掛けていく。水のやり過ぎややりなさ過ぎも注意が必要だが、時には水をやらずにいじめる。危機を感じた盆栽が自ら生きようとして葉っぱを出して花を咲かせるそうです。その先読みの楽しさ、やっぱり作品の完成をイメージして作業を進めるガラス作りに十分似ているなと若造はこっそり思いました…。

とにかくやってみる

今回の撮影で無理やりサンタの帽子をかぶってもらいました。怒られるかなと感想をもとめたところ、「…実はかぶりたいと思っていたんだけど、でも仕事場ではまじめなキャラで通っているので自分からはさすがにいえないけどね(笑)。」と優しくフォローをしてくれるのでした。 今後は”人のやっていない技法を開発して作品を作りたい”という目標に「とにかくやってみる」という我謝さんらしさをとっても感じてしまいました。

若手の職人に対して、「あまりにもモノを言わないすぎるよね。自分が入った頃は毎日先輩たちとぶつかっていたよ。もちろんいいものを作ろうとしてのぶつかり合いだったけどね。今の若い人たちには失敗を恐れず、自分の意志を明確にして仕事に取り組んでもらいたい」と更に熱くメッセージを語ってくれました。若造は我謝さんのその言葉に自分自身の数え切れないくらいの失敗体験による強い自信の表れを感じました。

聞き手:和家若造

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